「部活のあと、子どもが膝のお皿の下を押さえて痛がる」「正座やしゃがむ動作を嫌がるようになった」「成長痛だろうと言われて様子を見ているが、痛がる日が増えている」。成長期のお子さんが膝のお皿の下を痛がるとき、保護者の方は「成長痛」「よくあること」と聞いて安心したくなる一方で、どこに相談すればよいか迷いやすいものです。
この記事は、保護者の方向けに、成長期のお子さんの膝の痛みを大人と同じ工夫で様子を見ない理由、確認したい症状、整形外科へ相談する目安、受診時に伝えたいことを整理したものです。お子さんの膝の痛みの原因を特定できるのは医療機関です。年齢や運動歴だけで「成長痛」「オスグッド」と決めず、この記事は相談先を考えるための材料としてお読みください。
大人と同じ工夫で様子を見ない理由
成長期の骨には、成長する部分(成長軟骨)があり、大人の膝とは痛みの原因も、注意すべき病気も異なります。大人向けの「階段の下り方を工夫する」「痛まない範囲で動かす」といった記事やセルフケアを、お子さんにそのまま当てはめることはお勧めしません。
- お皿の下の骨が出っ張って痛む状態は、成長期の運動量と関係することが多い一方で、確認なしに運動を続けると長引くことがあります
- 成長期の膝には、まれに、早く見つける必要のある病気(骨や関節の感染、腫瘍など)が隠れていることがあります。「痛がる場所がお皿の下だから大丈夫」とは言えません
- 股関節の病気が膝の痛みとして出ることがあり、膝だけを見ていると見落とします
- お子さんは痛みをうまく言葉にできず、「かばって歩く」「正座を嫌がる」「運動を休みたがる」という行動で表すことがあります
確認したいこと(保護者の方が気づく範囲で)
- 痛がる場所(お皿の下、お皿のまわり、膝の内側・外側、太ももや股関節)。押して確かめる必要はなく、お子さんが示す場所で十分です
- いつ痛がるか(運動中、運動後、翌朝、安静時、夜間)。運動の種類(ジャンプ、ダッシュ、キック)
- 片側か両側か。腫れ、熱っぽさ、赤みがあるか
- 足を引きずる、かばって歩く、正座やしゃがみ込みを嫌がる
- 発熱、食欲の低下、元気がない、体重が減ったなど、全身の様子
- 転倒や衝突などのけがの有無
- いつから続いているか。練習量が増えた時期、身長が急に伸びた時期との関係
医療機関へ相談したい症状
次のような症状は、膝の問題として様子を見ず、救急要請(119 番)をしてください。救急車が必要か迷うときだけ、救急相談(#7119)を使ってください。
- 転倒や衝突のあと、痛みで動けない、または安全に移動できない
- 出血が止まらない、傷から骨が見えている(どちらか一つでも)
- 足先の感覚が無い、または反対側に比べて足先の色が急に青白く冷たい
- 頭を打ったあとに、意識がぼんやりする、繰り返し吐く、頭痛が悪化していく(このうち一つでも)
- 発熱に加えて、意識がぼんやりする、受け答えがはっきりしない、ぐったりしている
- 発熱や頭の打撲が無くても、意識がぼんやりする、受け答えがはっきりしない
次の場合は、自宅での対処で様子を見ず、予約診療を待たずに、当日中に救急外来へ相談してください。
- 痛む脚に体重をかけられない、歩けない、足を引きずる
- 脚の形が明らかにいつもと違う(動けて、出血が止まっていても)
- 発熱や、膝の赤み・熱っぽさ・腫れを伴う
- 急に強く痛がり出した、短時間で腫れてきた
- 転倒や衝突のあとに痛がる(お子さんの骨折は見た目で分かりにくいことがあります)
- 転倒や衝突で頭を打った(上の症状が無くても、当日中に救急外来へ)
次の場合は、様子を見ずに、当日中に整形外科(小児の診療に対応しているところ)へ相談してください。当日の予約が取れなければ、その日のうちに救急外来へ相談してください。
- 運動のたびに痛がる、痛がる日が増えている
- 安静時や夜間にも痛がる、夜に痛みで目が覚める
- 正座やしゃがみ込みを嫌がる、運動を休みたがる
- 膝の痛みだけで、股関節や太ももを痛がっていなくても、歩き方が変わった
- 股関節や太ももの痛みを訴える
- 元気がない、食欲が落ちた、体重が減ったなど、全身の変化がある
ここに当てはまらないことは、受診が不要という意味ではありません。「成長痛だから」と決めて練習を続けさせず、痛がる状態が続くなら日数を待たずに相談してください。
受診時に伝えたいこと
- 痛がる場所と、いつ痛がるか。片側か両側か
- いつから続いているか。練習量や身長の変化、けがの有無
- 腫れ・熱っぽさ・発熱・歩き方の変化・全身の様子
- 所属するチームや部活での運動内容と頻度、大会の予定
- 指導者から言われていること、本人の希望
受診後は、診断名と指示内容(運動の可否・制限の期間・再診の目安)を保護者と指導者で共有し、指示と違う変化や新しい症状が出たら、自己判断で再開せず、再度医療機関へ相談してください。
確認の前にさせないこと
歩き方が変わっているあいだは、確認が終わるまで、練習や、痛む脚で踏ん張る運動をさせないでください。119 番の症状と、当日中の救急外来の症状があるときは、この節で待たずに上の段へ進んでください。
- 痛がる場所を押して確かめる、ジャンプさせて確かめる
- 大人向けのストレッチやセルフケアをそのまま行わせる
- 「成長痛」「オスグッド」と家庭で決めて、痛み止めを使いながら練習を続けさせる
- 市販のサポーターで痛みを抑えて続けさせる(使い方は医療機関で相談)
受診後に保護者と指導者で共有したいこと
医療機関から伝えられた運動の可否や制限、再診の目安を、保護者と指導者で共有してください。判断に迷う点は受診先へ確認し、お子さんが新たに訴えた痛みや生活上の支障も伝えてください。
よくあるご質問
Q. 成長痛なら放っておいてよいですか 「成長痛」は確認を受けたうえで医療機関が使う言葉で、家庭で決める言葉ではありません。痛がる状態が続く、運動のたびに痛がる場合は、整形外科で確認してください。歩けない、発熱、赤み、けがのあとは、当日中の救急外来です。発熱に加えてぐったりしている、意識がぼんやりする、受け答えがはっきりしないときは 119 番です。
Q. まだ受診していませんが、相談できますか 成長期のお子さんの膝の痛みは、まず整形外科で確認していただくようお伝えしています。痛みで動けない、出血が止まらない、骨が見える、足先の感覚が無い、頭を打ったあとの嘔吐や意識の変化、発熱に加えてぐったりしている・意識がぼんやりする・受け答えがはっきりしないときは 119 番です。発熱だけで意識がはっきりしている、赤み、体重をかけられない、けがのあとは、当日中の救急外来です。その日は来院しないでください。
ご予約・アクセス
JR 稲田堤駅から徒歩 1 分、京王稲田堤駅から徒歩 4 分です。院の場所や駐車場、ご予約方法はアクセス・院情報をご覧ください。お子さんの膝の痛みは、まず整形外科へご相談ください。


